
岡崎京子短編集復刻版『チワワちゃん』表紙
**【コメント】**選定には趣味が入っていると言ったばかりだけど、こればかりは誰もが認める傑作中編…?、いや、短編だった。僅か32ページの中にものの見事に凝縮されたドラマ。今確認してびっくりした。もっと長い話だと思っていたのに。とにかくまぁ、あなた、この乾いた語り口と、フラッシュバックを駆使した技法の冴えは凄い。技法的には「リバーズ・エッジ」に一番近いところにいる作品かもしれない。 **【お話】**チワワちゃんが殺された。バラバラにされ、東京都指定の白いビニール製のゴミ袋に詰められて、海に捨てられた。見つかったときには腐乱した肉の塊に変わっていて歯形と血液型でようやく身元が突き止められたほど。あんな娘はそんな目にあって当然なのだとマスコミは報道する。元看護学校生。でも通ったのは二ヶ月だけ。あとは英会話学校や専門学校を転々とし、アルバイトのモデルから最後はヤク中のAV女優にまで転落していった女の子。欲望渦巻く都会に翻弄され自滅していった無軌道な若者の典型…。でも、本当は、チワワちゃんっていったいどんな女の子だったのだろう? ある日、ヨシダ君の新しいカノジョとしてみんなの前に現れた、あの、オッパイの大きくて小柄な女の子は? ヨシダ君に思いを寄せていたミキちゃんはそんなチワワちゃんが羨ましかったのに…。そんな訳で、ミキちゃんは、仲間の一人一人に、チワワちゃんのことを尋ねて回り始める… 何だ、ありふれた話じゃないかって? 作品の価値は、何を語るかにではなく、どう語るかにあるという、普段は嫌いな説に、同意したくなるような作品であることだけは確か。 **【書誌】**●短編集「チワワちゃん」(1996年7月1日角川書店刊)収録●ISBN4-04-852687-1●新装版(2004年3月1日角川書店)●復刻版(2018年12月22日KADOKAWA)●Kindle版(2014年9月26日KADOKAWA)●初出:月刊「YOUNG ROSE」1994年7月号 (1999.06.08新規、改訂20010208)