岡崎京子『でっかいこいのメロディー』収録短編集『私は貴兄のオモチャなの』表紙

岡崎京子『でっかいこいのメロディー』収録短編集『私は貴兄のオモチャなの』表紙

**【コメント】**切れ味のいい短編。冴えてる。1ページにつき2回ずつゲラゲラ笑わされた。主人公の妹がイイ味出してる。主人公が憧れる古本屋の店番のおネエちゃんも言うことが変。「世界は、喪失 欠如 不在 消失に満ちているわ。そして暴力。それだけで世界はぱちんとはじけそうよ。でも思考とエクリチュールと愛だけがそれを救済することができるのよ。」 なおこの作品が収められている「私は貴兄のオモチャなの」は岡崎の短編集の中ではピカイチ。同じ短編集に収められている「虹の彼方に」や「私は貴兄のオモチャなの」もお薦め。 **【お話】**あなたが中学二年生の男の子で、ガールフレンドと一緒に、校舎の屋上から空を眺めていたとしよう。そのとき突然、「あたし、できちったみたい」(原文のママ)と言われたらドーする? トシ君は絶句。すると、彼女はニヤリと笑って、「なんて…」(自分の世代だったら「なぁんちゃって…」と言うところだけど時代が違うな)と言う。いけ好かない女だよな。そう言われたって、トシ君の動揺は治まらない。やっぱり中2の分際でセックスなんてしたからバチが当たったのか。でも、あの日「だいじょーぶ、中で出して、いっぱいいっぱいね」って言ったのは彼女じゃないか…何だかんだと大騒ぎがあって、身に覚えのない強姦未遂で停学を食らい、終いに満身創痍で病院のベットに横たわるハメになったトシ君。ウサギの衣装に身を包み心もすっかりウサギになりきった小学生の妹が判決を下す。「お兄ーちゃんが愛を大切にしなかったからよ。愛をてきとうにあつかうから。」「なんだおめー、急に。こえー。」「どうぶつのカンだもーん。まり、うさぎだもーん。どうぶつ、うそつかないあるよ。お兄ちゃんもどうぶつになりなさい。」決まった! 【書誌】短編集「私は貴兄のオモチャなの」(1995.9.25祥伝社ISBN4-396-76136-8)収録●Kindle版1995.09.25?●初出「フィールヤング」1995年2月号 (1999.06.14新規追加、改定2021.12.13)